改正不動産鑑定評価基準
(別添)
不動産鑑定評価基準の一部改正
不動産鑑定評価基準(平成14年7月3日付け国土交通事務次官通知)の一部を次のように改正する。
目次中各論に次の一章を加える。
第3章 証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価
「不動産鑑定士等」を「不動産鑑定士」に改める。
総論第7章第1節Ⅳ3.(3)中「ただし、不動産の証券化に係る鑑定評価等で毎期の純収益の見通し等について詳細な説明が求められる場合には、DCF法の適用を原則とするものとし、あわせて直接還元法を適用することにより検証を行うことが適切である。
特に、資産の流動化に関する法律又は投資信託及び投資法人に関する法律に基づく評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合には、DCF法を適用しなければならない。」を削る。
各論に次の一章を加える。
第3章 証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価
第1節 証券化対象不動産の鑑定評価の基本的姿勢
Ⅰ 証券化対象不動産の範囲
この章において「証券化対象不動産」とは、次のいずれかに該当する不動産取引の目的である不動産又は不動産取引の目的となる見込みのある不動産(信託受益権に係るものを含む。)をいう。
- 資産の流動化に関する法律に規定する資産の流動化並びに投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資信託に係る不動産取引並びに同法に規定する投資法人が行う不動産取引
- 不動産特定共同事業法に規定する不動産特定共同事業契約に係る不動産取引
- 金融商品取引法第2条第1項第5号、第9号(専ら不動産取引を行うことを目的として設置された株式会社 (会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第2条第1項の規定により株式会社として存続する有限会社を含む。)に係るものに限る。)、第14号及び第16号に規定する有価証券並びに同条第2項第1号、第3号及び第5号の規定により有価証券とみなされる権利の債務の履行等を主たる目的として収益又は利益を生ずる不動産取引
証券化対象不動産の鑑定評価は、この章の定めるところに従って行わなければならない。この場合において、鑑定評価報告書にその旨を記載しなければならない。
証券化対象不動産以外の不動産の鑑定評価を行う場合にあっても、投資用の賃貸大型不動産の鑑定評価を行う場合その他の投資家及び購入者等の保護の観点から必要と認められる場合には、この章の定めに準じて、鑑定評価を行うよう努めなければならない。
Ⅱ 不動産鑑定士の責務
- 不動産鑑定士は、証券化対象不動産の鑑定評価の依頼者(以下単に「依頼者」という。)のみならず広範な投資家等に重大な影響を及ぼすことを考慮するとともに、不動産鑑定評価制度に対する社会的信頼性の確保等について重要な責任を有していることを認識し、証券化対象不動産の鑑定評価の手順について常に最大限の配慮を行いつつ、鑑定評価を行わなければならない。
- 不動産鑑定士は、証券化対象不動産の鑑定評価を行う場合にあっては、証券化対象不動産の証券化等が円滑に行なわれるよう配慮しつつ、鑑定評価に係る資料及び手順等を依頼者に説明し、理解を深め、かつ、協力を得るものとする。また、証券化対象不動産の鑑定評価書については、依頼者及び証券化対象不動産に係る利害関係者その他の者がその内容を容易に把握・比較することができるようにするため、鑑定評価報告書の記載方法等を工夫し、及び鑑定評価に活用した資料等を明示することができるようにするなど説明責任が十分に果たされるものとしなければならない。
- 証券化対象不動産の鑑定評価を複数の不動産鑑定士が共同して行う場合にあっては、それぞれの不動産鑑定士の役割を明確にした上で、常に鑑定評価業務全体の情報を共有するなど密接かつ十分な連携の下、すべての不動産鑑定士が一体となって鑑定評価の業務を遂行しなければならない。
第2節 処理計画の策定
Ⅰ 処理計画の策定に当たっての確認事項
処理計画の策定に当たっては、あらかじめ、依頼者に対し、証券化対象不動産の鑑定評価に関する次の事項を確認し、鑑定評価の作業の円滑かつ確実な実施を行うことができるよう適切かつ合理的な処理計画を策定するものとする。
この場合において、確認された事項については、処理計画に反映するとともに、当該事項に変更があった場合にあっては、処理計画を変更するものとする。
- 鑑定評価の依頼目的及び依頼が必要となった背景
- 対象不動産が第1節Ⅰ(1)、(2)又は(3)のいずれに係るものであるかの別
- エンジニアリング・レポート(建築物、設備等及び環境に関する専門的知識を有する者が行った証券化対象不動産の状況に関する調査報告書をいう。以下同じ。)、DCF法等を適用するために必要となる資料その他の資料の主な項目及びその入手時期
- エンジニアリング・レポートを作成した者からの説明の有無
- 対象不動産の内覧の実施を含めた実地調査の範囲
- その他処理計画の策定のために必要な事項
Ⅱ 確認事項の記録
第2節Ⅰ(1)から(6)までの事項の確認を行った場合には、それぞれ次の事項に関する記録を作成し、 及び鑑定評価報告書の附属資料として添付しなければならない。
- 確認を行った年月日
- 確認を行った不動産鑑定士の氏名
- 確認の相手方の氏名及び職業
- 確認の内容及び当該内容の処理計画への反映状況
- 確認の内容の変更により鑑定評価の作業、内容等の変更をする場合にあっては、その内容
Ⅲ 鑑定評価の依頼目的及び依頼者の証券化関係者との関係
証券化対象不動産については、関係者が多岐にわたり利害関係が複雑であることも多く、証券化対象不動産の鑑定評価の依頼目的及び依頼が必要となった背景等並びに依頼者と証券化対象不動産との利害関係に関する次の事項を鑑定評価報告書に記載しなければならない。
- 依頼者が証券化対象不動産の証券化に係る利害関係者(オリジネーター、アレンジャー、アセットマネジャー、レンダー、エクイティ投資家又は特別目的会社・投資法人・ファンド等をいい、以下「証券化関係者」という。)のいずれであるかの別
- 依頼者と証券化関係者との資本関係又は取引関係の有無及びこれらの関係を有する場合にあっては、その内容
- その他依頼者と証券化関係者との特別な利害関係を有する場合にあっては、その内容
第3節 証券化対象不動産の個別的要因の調査等
Ⅰ 対象不動産の個別的要因の調査等
証券化対象不動産の個別的要因の調査等に当たっては、証券化対象不動産の物的・法的確認を確実かつ詳細に行うため、依頼された証券化対象不動産の鑑定評価のための実地調査について、依頼者(依頼者が指定した者を含む。)の立会いの下、対象不動産の内覧の実施を含めた実地調査を行うとともに、対象不動産の管理者からの聴聞等により権利関係、公法上の規制、アスベスト等の有害物質、耐震性及び増改築等の履歴等に関し鑑定評価に必要な事項を確認しなければならない。
Ⅱ 実地調査
不動産鑑定士は、実地調査に関し、次の事項を鑑定評価報告書に記載しなければならない。
- 実地調査を行った年月日
- 実地調査を行った不動産鑑定士の氏名
- 立会人及び対象不動産の管理者の氏名及び職業
- 実地調査を行った範囲(内覧の有無を含む。)及び実地調査により確認した内容
- 実地調査の一部を実施することができなかった場合にあっては、その理由
Ⅲ エンジニアリング・レポートの取扱いと不動産鑑定士が行う調査
- 証券化対象不動産の鑑定評価に当たっては、不動産鑑定士は、依頼者に対し当該鑑定評価に際し必要なエンジニアリング・レポートの提出を求め、その内容を分析・判断した上で、鑑定評価に活用しなければならない。ただし、エンジニアリング・レポートの提出がない場合又はその記載された内容が鑑定評価に活用する資料として不十分であると認められる場合には、エンジニアリング・レポートに代わるものとして不動産鑑定士が調査を行うなど鑑定評価を適切に行うため対応するものとし、対応した内容及びそれが適切であると判断した理由について、鑑定評価報告書に記載しなければならない。
- エンジニアリング・レポートの提出がない場合又はその記載されている内容が不十分である場合として想定される場合を例示すれば、既に鑑定評価が行われたことがある証券化対象不動産の再評価をする場合、証券化対象不動産が更地である場合(建物を取り壊す予定である場合を含む。)等がある。
- エンジニアリング・レポートの内容を鑑定評価に活用するか否かの検討に当たっては、その判断及び根拠について、鑑定評価報告書に記載しなければならない。
この場合においては、少なくとも次の表の項目ごとに、それぞれ同表に掲げる内容を鑑定評価報告書に記載しなければならない。この場合における鑑定評価報告書の様式の例は、別表1のとおりとする。 なお、(1)ただし書きの場合においても、同様とする。 - エンジニアリング・レポートについては、不動産証券化市場の環境の変化に対応してその内容の改善・充実が図られていくことにかんがみ、エンジニアリング・レポートを作成する者との密接な連携を図りつつ、常に自らのエンジニアリング・レポートに関する知識・理解を深めるための研鑽に努めなければならない。
第4節 DCF法の適用等
証券化対象不動産の鑑定評価における収益価格を求めるに当たっては、DCF法を適用しなければならない。この場合において、 併せて直接還元法を適用することより検証を行うことが適切である。
Ⅰ DCF法の適用過程等の明確化
- DCF法の適用に当たっては、DCF法による収益価格を求める際に活用する資料を次に定める区分に応じて、その妥当性や判断の根拠等を鑑定評価報告書に記載しなければならない。
- 依頼者から入手した対象不動産に係る収益又は費用の額その他の資料をそのまま活用する場合
- 依頼者から入手した対象不動産に係る収益又は費用の額その他の資料に修正等を加える場合
- 自らが入手した対象不動産に係る収益又は費用の額その他の資料を活用する場合
- DCF法による収益価格を求める場合に当たっては、最終還元利回り、割引率、収益及び費用の将来予測等査定した個々の項目等に関する説明に加え、それらを採用して収益価格を求める過程及びその理由について、経済事情の変動の可能性、具体的に検証した事例及び論理的な整合性等を明確にしつつ、鑑定評価報告書に記載しなければならない。また、複数の不動産鑑定士が共同して複数の証券化対象不動産の鑑定評価を行う場合にあっては、DCF法の適用において活用する最終還元利回り、割引率、収益及び費用の将来予測等について対象不動産相互間の論理的な整合性を図らなければならない。
- 鑑定評価報告書には、DCF法で査定した収益価格(直接還元法による検証を含む。)と原価法及び取引事例比較法等で求めた試算価格との関連について明確にしつつ、鑑定評価額を決定した理由について記載しなければならない。
- DCF法の適用については、今後、さらなる精緻化に向けて自己研鑽に努めることにより、説明責任の向上を図る必要がある。
Ⅱ DCF法の収益費用項目の統一等
- DCF法の適用により収益価格を求めるに当たっては、証券化対象不動産に係る収益 又は費用の額につき、連続する複数の期間ごとに、次の表の項目(以下「収益費用項目」という。)に区分して鑑定評価報告書に記載しなければならない収益費用項目ごとに、記載した数値の積算内訳等を付記するものとする)。この場合において、同表の項目の欄に掲げる項目の定義は、それぞれ同表の定義の欄に掲げる定義のとおりとする。